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建築士事務所登録と設計体制を持つ住宅会社のM&A論点

住宅模型と資料を使って企業価値を確認している様子

設計機能を持つ住宅会社のM&Aでは、建築士の資格証だけを確認しても業務継続は判断できません。個人の建築士免許、法人等の建築士事務所登録、管理建築士、設計・工事監理契約、図面データを別々に調べ、譲渡後の法人・事務所・担当者へつなぎ直す必要があります。

目次

三つの層を分けて確認する

層 確認対象 M&Aでの問い
個人資格 一級・二級・木造建築士等 誰が在籍し、何を担当するか
事務所登録 登録者、所在地、級別、有効期間 譲渡後の法人・拠点で有効か
業務体制 管理建築士、設計・監理手順 受注案件を継続できるか

建築士名簿・建築士事務所登録簿は2025年4月からインターネット閲覧が可能になりましたが、公開情報だけで変更予定や実際の勤務状況は分かりません。登録簿、申請・変更控え、所属者名簿、定期講習、雇用資料を社内資料と照合します。

株式譲渡と事業譲渡で工程を分ける

株式譲渡では登録を受けた法人自体が存続するのが通常です。それでも、役員、商号、所在地、所属建築士などに変更があれば、届出や登録要件への影響を確認します。事業譲渡では登録が事業と一緒に当然移転するとは考えず、譲受側の登録、新事務所、管理建築士、業務開始時期を管轄窓口へ事前に確認します。

事業譲渡で設計契約を移す場合、顧客の承諾、報酬の精算、成果物、設計責任、工事監理の担当を案件別に決めます。譲渡手法の全体比較は住宅会社の株式譲渡と事業譲渡をご覧ください。

管理建築士への依存を業務で測る

管理建築士の氏名と講習修了だけでなく、技術的事項の統括、受託可否、担当者配置、図面審査、外注管理、重要事項説明、工事監理報告などが実際にどう行われているかを確認します。退任予定があるなら、後任候補の資格・経験・講習・就任可能日を整理し、空白が生じない工程を作ります。

  • 代表者、管理建築士、設計責任者の役割分担
  • 資格・講習の期限と更新担当者
  • 確認申請、構造・設備設計の外注先
  • 社内承認の段階と最終押印・電子承認
  • 事故・クレーム時の報告と是正責任者

資格者への集中を会社全体で見るには住宅会社のキーマン依存度も参照してください。

進行案件を設計責任の単位で並べる

案件名、顧客、建物用途・規模、契約当事者、設計範囲、工事監理、確認申請、構造・設備外注、担当建築士、報酬、進捗、成果物、未解決事項を一覧化します。設計施工一括でも、設計と施工の責任・対価を分けて説明します。

優先して調べる案件

  • 確認申請中、計画変更中、完了検査前
  • 法適合性や施主要望について協議が残る
  • 構造・設備設計を外注し、契約が口頭中心
  • 報酬未収、追加設計が未合意
  • 漏水、ひび割れ、不同沈下等の相談が継続中

施工側の許可も持つ会社では、建設業許可の承継確認を別表で行い、設計登録と混同しないようにします。

図面・CAD・知的財産を移管できる形にする

紙図面、CAD/BIM、構造計算、確認申請、写真、議事録、メールを案件番号でそろえます。ファイル形式、ソフトの版、フォント・部材ライブラリ、外部参照、クラウド所有者、管理者ID、バックアップ復元を確認します。担当者の個人端末にしかないファイルは会社環境へ集約します。

図面の著作権、利用許諾、改変、施主への引渡し、外注成果物の権利は契約により異なります。「納品済みだから自由に使える」と決めつけず、契約と作成者を照合します。個人情報を含む間取り・住所のアクセス権も必要最小限にします。

保険・保存義務・既知案件を確認する

建築士賠償責任保険等の加入、対象業務、保険期間、遡及・通知条件を確認し、M&Aや法人変更時の扱いを保険会社へ照会します。法定の図書保存と社内保管期間を整理し、既知の事故・請求・紛争・行政照会は最終契約の開示資料へ具体的に記載します。法令や手続きは改正・地域運用があるため、管轄都道府県、建築士事務所協会、弁護士、行政書士等に最新情報を確認してください。

決済初日の設計業務を時刻表にする

確認申請の補正期限、施主打合せ、現場検査、外注への回答が決済日周辺にあれば、担当者と承認者を時間単位で指定します。旧メールや電子申請アカウントを止める前に、新環境で案件へアクセスできるかを確認し、顧客・審査機関・施工担当へ連絡先変更を案内します。

印章・電子証明、事務所標識、帳簿、契約書式、重要事項説明書、請求口座もチェックリスト化します。登録手続きが終わる前に行ってよい業務と待つ業務は、管轄窓口と専門家の回答を記録して判断します。

登録から逆算する決済前後の工程

  1. 登録簿、所属者、進行案件、外注先、保険を基準日で固定する。
  2. 譲渡後の法人、所在地、管理建築士、業務範囲を決める。
  3. 管轄窓口へ必要な新規登録・変更届と時期を照会する。
  4. 登録・担当者在籍・顧客承諾を必要に応じて決済条件にする。
  5. 決済日に案件、図面、権限、顧客窓口を引き渡し、30日後に未了を再確認する。

注文住宅会社における設計・施工の評価全体は工務店・注文住宅会社のM&Aをご覧ください。登録と案件の対応表を整える段階から相談したい場合は、住宅M&Aの無料相談へお問い合わせください。

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この記事を書いた人

住宅会社・工務店・リフォーム会社のM&A、会社売却、事業承継に関する実務情報を、公開資料と住宅業界の論点に基づいて編集・発信しています。

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