本記事は、当社に実際に寄せられたM&A・事業承継のご相談をもとに、相談者や企業を特定できないよう、内容の一部を加工・再構成して掲載しています。相談時の課題や検討内容をご紹介するものであり、個別案件の成約や同様の結果を保証するものではありません。
設計者と現場監督にノウハウが集中し、後継者が決まらないまま施工中案件と保証対応を抱える戸建注文住宅会社からのご相談です。候補先の方向性として、隣接県へ施工エリアを広げたい住宅会社を検討しました。設計の意図を現場へ伝える仕組みと、施主に約束した品質を引き継ぐための条件を整理しました。
設計から引渡しまで、誰の判断で工事が進むか
経営者への聞き取りだけでなく、進行中の案件を設計・見積・発注・施工・検査・引渡しへ分け、担当者と承認者を確認します。図面があっても、仕様変更を誰が承認したか、追加費用に施主の合意があるかが不明なら、買い手は完成までの費用を見積もれません。
| 資料 | 買い手と確認すること |
|---|---|
| 図面の版・仕様書・変更履歴 | 最終合意版を特定し、設計意図と施工指示の食い違いを解消できるか。外部設計者の図面は利用権限も確認する。 |
| 工事台帳・発注残・入金予定 | 残工事費、追加変更、未払外注費、前受金を案件別に照合し、完成までの資金と採算を説明できるか。 |
| 資格・担当現場・協力会社一覧 | 特定の設計者や監督が離れた場合の代替配置、許可等の要件、職人の受注余力と単価を確認できるか。 |
| 検査・引渡し・補修の記録 | 未解決の指摘、OB施主の問い合わせ、保証対応を誰が受け、どちらが費用を負担するか。 |
買い手の施工体制を、同じ工程で比べる
候補先には、営業エリアの近さだけでなく、現場巡回、設計レビュー、品質検査、緊急時の応援体制を示してもらいます。売り手の監督が短期間残る前提なら、その役割・稼働日・後任育成・終了条件を決めます。「人が残るから大丈夫」という説明だけでは、引継ぎの完了を判断できません。
匿名概要でも施工事例や狭い商圏から会社が推測されることがあります。売り手の会社名の開示は候補先ごとに売り手の事前同意を得て、秘密保持契約を締結します。図面や施主情報は検討段階に必要な範囲へ絞り、閲覧者と利用目的を管理します。
許可と雇用を、実行日の条件にする
株式譲渡では法人が継続しますが、役員・技術者等の変更や要件を確認します。事業譲渡に伴う建設業許可の承継は、許可に係る建設業の全部を対象とする事前認可の制度であり、一部の許可業種だけを移す場合とは区別します。建築士事務所登録や請負契約も別に確認し、必要な手続きと施主等の承諾を日程へ組み込みます。
事業譲渡で労働契約を移すときは、譲受先や労働条件等について十分な説明・協議と判断時間を確保し、従業員個別の承諾を得ます。同じ法人が雇用主であり続ける株式譲渡と、一律に扱いません。
条件が整わなければ、施工範囲や時期を見直す
残原価が不明な案件は追加調査や精算方法の合意が必要です。後任の監督、必要な手続き、補修費用の分担が確定しなければ、決済の延期や対象案件の見直しを検討します。成約を急いで施工品質を落とす前提にはしません。
承継後は、設計変更の未承認件数、工程の遅れ、引渡し時の指摘、補修の対応状況を双方で確認する運用を考えます。このご相談では、その条件を整理しています。ブランド維持や改善成果を保証するものではありません。
当センターは譲渡企業様から着手金・中間金・月額報酬・成功報酬をいただかない方針のため、M&Aの検討段階から成約後の実質手取りを意識して相談を進められます。
0円は当センターへの売り手手数料です。税金・登記費用・外部専門家費用等は含みません。対象範囲は料金と費用条件をご確認ください。
制度の根拠:国土交通省・建設業許可事務ガイドライン/厚生労働省・事業譲渡等指針(2026年9月14日確認)。全体の確認順は住宅M&Aの方式別準備表も参照してください。
